祖母の掃除

掃除のこと
『全部掃き出してからね。』
幼い頃、私が朝の忙しい時間に祖母を呼ぶと必ずこう返ってきた。

共働きの両親に代わり、幼稚園の送り迎えは毎日祖母がしてくれた。
園バスが来るのが9時頃だったので、私はそれまで幼児番組を見ていた記憶がある。

孫のテレビタイムは、祖母の家事タイムであり、いつも忙しなく動いていたのを横目で見ていた。

私の実家は100平米ほどの平屋で、部屋数は台所と居間+4部屋。
今風に言うと4DKという間取りになる。
祖母は毎朝、掃出し箒一本で全ての部屋を掃除していた。

目を閉じるとサッサ、サッサという音が耳元で鳴り響く。
なんとも歯切れのよいリズム。
その何気ない日常の中で、心地よい掃除の習慣は身についた。

『畳の目に沿って箒でなでるんだよ。』
『畳の目に沿って雑巾をかけなさい。』
『掃除をすると清々と気持ちがいいね。』
『お客様には一番いい座布団を出しなさい。』
祖母との思い出はいくつもあるけれど、思い出すのはいつもこんな言葉ばかり。

祖母は家族のために毎日家を磨いてくれた。
使う道具は、箒とはたきと雑巾だけ。
掃除は道具でするにあらず、心でするもの。
そう教えてくれた。

祖母と一緒に過ごした私にとって、家がきれいに整っていることは当たり前だった。
けれど大人になって、それが当たり前でないことを知った。

サッサ、サッサという懐かしい音が、今も私の中で響いている。

room work

整理を通してなりたい自分になる こころが変わるとすべてが変わる

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